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なかなか遺産 大正ロマンの館

 Uploaded by SankeiNews なかなか遺産 大正ロマンの館 (2017/10/16) 

なかなか遺産 大正ロマンの館

昔ながらの素朴な町並みの福島県矢吹町。JR東北線の矢吹駅ちかく、旧奥州街道沿いの商店が並ぶ地区にあって、西洋の雰囲気を醸し出す洋館が「大正ロマンの館」だ。
 「そろそろ遺産・ゆうゆう系」に分類される優雅な造りで、庇(ひさし)の上にバルコニーを備えた玄関ポーチや、鷲のレリーフが目を引く。1階には地産野菜が自慢のカフェがあり、地元の人たちでにぎわっている。
 「ゆうゆう系」にしては新しく見えるが、大正9年、医師の屋形貞(やかたさだ)さんが建てた「屋形医院」が原型。
 昭和20年に屋形さんが亡くなると、別の医師が後を継いだが、40年代末には医院の役目を終え、主を失った。
 平成7年、矢吹町商工会が商店街の活性化を図ろうと、「大正ロマンの館」と名付け、ライトアップを実施、いつしか町の顔となった。
 しかし、穏やかな日々を悲劇が襲う。平成23年の東日本大震災だ。震度6弱を記録した矢吹町は、住居の半数超となる3600戸が損壊。大正ロマンの館も倒壊は免れたが、館の顔ともいえる玄関ポーチが崩れ落ちた。
 一時は取り壊しも考えたが、復興に向け、再び商店街のシンボルにしたいという声が上がり、再建へと舵が切られた。大正時代からの扉や天井、窓枠などを残しつつ、昨年11月に復活を遂げた。
 建物を管理する任意団体「マルベリーフィールズ」の大木志保美さん(51)は、「テーブルは、町内の中・高生が中心のボランティアによる手作り。室内に運び込まれたとき、建物に再び息が吹き込まれたように感じた」と振り返る。
 テーブル製作に参加した高校3年の中畑匡貴(まさき)さんが、カフェでアルバイトをしていると、かつて医院で看護師をしていた年配の女性が山形県から訪ねてきたという。「きれいになった建物をうれしそうにごらんになっていました。壊さないでおくと、こんなことがあるんだと驚いた」
 「建物って、なくなってしまうと存在していたことも伝わらなくなる。残す意味を実感しました」と中畑さん。大正の空気を今に残す建物は、世代を超えたロマンを紡ぎ続けている。




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