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「息子を見殺しに」ラジオの声を探して 見えた父子の絆 阪神大震災25年

 Uploaded by 朝日新聞社

「息子を見殺しに」ラジオの声を探して 見えた父子の絆
阪神大震災25年

2020/01/17公開
あの朝、ラジオ関西(AM神戸)を聴いていた人は衝撃的な音声を耳にしただろう。阪神・淡路大震災の発生1時間半後、激しく燃える神戸市長田区からの中継。建物の下敷きになった息子を救い出せず、炎から逃れてきたばかりだという男性の声が電波に乗った。問われるままに、最期の状況を淡々と説明する声。あの声の主は、一体誰なのだろう。手がかりを探して、震災25年後の街を歩いた。
 震災時の映像や音声を探す取材の中で、ラジオ関西に当時の放送音声の一部が保管されていると知ったのは昨年11月。局から提供してもらった音声のうち1本に、火災現場からの生々しい声が収録されていた。
 午前7時21分ごろからの音声という。「消防車は1台も来ておりません。大火災の状況です」。リポートするスタッフの声の後ろでは何度も破裂音がする。
 スタッフは近くにいた男性にマイクを向けた。声は50~60代くらいか。「息子が一人、もう死んでると思うね」「(建物の)下敷きになっとるから……出されへんかったんですわ」
 スタッフは驚き、何度も言葉に詰まる。男性は独り言のようにつぶやいた。「この火事だけなかったらね、助かったんやけどね」
 声の主は名乗っていない。探す手がかりは、リポートに出てくる「長田区若松町」という地名や、息子の年齢を「38か……」と答えた男性の言葉だけだ。





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