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山中伸弥さんがマラソンを走る理由

 Uploaded by 朝日新聞社 山中伸弥さんがマラソンを走る理由 (2019/03/02)

山中伸弥さんがマラソンを走る理由

ノーベル賞受賞者で京都大教授の山中伸弥さんに、走り続けるわけを聞いた。京都市の京都大iPS細胞研究所(CiRA(サイラ))。山中さんは、仕事の合間に近くをランニングし、週末は20キロ走ることもある。研究所のトップとして研究者ら約600人を束ね、自分の研究室がある米国西海岸を行き来し、年十数回の講演もこなす。多忙のなかマラソンに向け練習を重ねるのは「iPS細胞を使った医療応用を実現し、一日でも早く患者に届けたい」との思いからだ。
 研究所の渡邉文隆・基金グループ長によると、テレビや新聞で山中さんのマラソン出場が紹介されると寄付が増える。2017年度に集まった寄付は37億円。18年3月末の残高は約103億円に達した。山中さんも「走る姿を見て、それが呼び水となって間接的に寄付する方も多い」と話す。寄付で支えられる米国の研究所や大学を目の当たりにし、日本にも寄付文化を根付かせたいと考える。
マラソンと研究には重なる点があるとも感じる。iPS細胞の医療応用は10年、20年とかかる長丁場で成果が見えにくい。マラソンも普段の練習では速くなったと感じることは少ないが、努力すれば少しずつタイムは縮まる。「やればできるという勇気をマラソンからもらっている。これを糧に長くかかるiPS細胞研究を頑張って続けたい」
 国内ではチャリティーでマラソンに出場するランナーが増えている。友人や同僚に寄付を呼びかけ、目標金額を集めると出場資格が得られる仕組み。7年前にチャリティー枠が始まった東京マラソンでは当初、参加者が707人で、募集枠の1千人を下回ったが、その後、参加者が増え、今年は4千人が参加した。集まった寄付は約4億1500万円。出場するには目標金額10万円を集める必要があるが、今年7月、来年のマラソンの申し込みが始まると、5千人の枠が4日間で埋まった。寄付先は病気と闘う子どもや被災地、貧困への支援など22事業から選べる。
 こうした動きを山中さんは「ランニング文化が深まっている」とみる。「東京マラソンに出たいという気持ちだけでは説明できない。『走る+(プラス)社会に貢献したい』という多くのひとの気持ちの表れだ。走ることが健康維持という目的以上に人生そのものを表現する場になっている」




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