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語り継ぐ戦争 2・26事件で飛ばされた父 玉置和範さん

 Uploaded by 朝日新聞社  語り継ぐ戦争 2・26事件で飛ばされた父 玉置和範さん (2019/02/24)

語り継ぐ戦争
2・26事件で飛ばされた父 玉置和範さん

私の家は津の藤堂藩の中級武士の家系です。戦前はまだ江戸の名残があり正月、祖母に連れられ、殿様や家老にあいさつに行き、小遣いをもらった。太平洋戦争が始まると、もう行かなかった。
 あのころ、津城の周りは、士族の屋敷が並んでいた。昭和20(1945)年7月、2度の津空襲で焼かれた。街が無くなり、今の近鉄線あたりから城の石垣が見えた。私の家も直撃を受け、祖母、母、弟2人が亡くなった。私だけ生き残った。
 父は職業軍人で、陸軍大佐だった。開戦前、「今度は帰ってこれんだろう」と言って出て行った。フィリピン戦を経て、ラバウルにいた。津空襲で長男の私も死んでいたら帰ってこないつもりだったらしい。軍人の一族で、母方のおじも三重県在郷軍人会長です。でも父は「絶対軍人になるな」と言っていた。明治維新以来、金のない中級武士の多くは軍に入ったが、ひどい面も見ていたんですね。
 私は、父が北海道旭川市の連隊にいる時に生まれた。不景気で軍人が減らされ、父は小樽高等商業学校の軍事教官に出された。この時、2・26事件が起き、関係者と手紙のやりとりをしていた父もにらまれ、朝鮮、旧満州(中国東北部)へ転出させられた。




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