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豪商の夢の跡 掘り進めると… 約400メートルの洞窟に39体の観音像が点在する「洞窟観音」

 Uploaded by 朝日新聞社 豪商の夢の跡 掘り進めると… 約400メートルの洞窟に39体の観音像が点在する「洞窟観音」 (2018/10/02)

豪商の夢の跡 掘り進めると…
約400メートルの洞窟に39体の観音像が点在する「洞窟観音」

群馬・高崎の観音山丘陵に、「洞窟観音」というスポットがある。全長約400メートルの洞窟に観音像が39体。洞窟の中は薄暗く、ひんやりとし歩みを進めると左右に如意輪観音像や十一面観音像などが現れる。洞窟を200メートル進むと様子が一変した。ごつごつした岩石で壁が覆われる。
 洞窟の最奥部は、大小の岩石でさらに複雑な様相で、神秘性を帯びる。巨石に色の違う石がはめ込まれている。滝や水の流れを表現しているらしい。テーマパークのアトラクションのような高さ15メートル超の階段状の装飾も。
 「よく勘違いされるんですが、洞窟そのものも人工物なんです」。管理する一般財団法人「洞窟観音山徳公園維持会」の代表理事荒井宏介さんが教えてくれた。つるはしやスコップで掘り進め、群馬・長野県境の浅間山から貨物列車で溶岩を運び込むなど、各地の銘石や巨石を運び込んだという。
 つくったのは山田徳蔵(1885~1964)。実は、荒井さんはひ孫にあたる。
 徳蔵は現在の新潟県柏崎市出身。高崎で高級呉服店を営んだ。大正時代の最盛期には東京や中国の上海、青島にも支店を広げた。膨大な富を築いた徳蔵は仏教への信仰心があつく、「多くの人が楽しめる参拝所を」と決意。1919(大正8)年に洞窟観音をつくり始めた。時には徳蔵自身も掘削作業に加わり、第2次大戦を挟んで徳蔵が亡くなるまで半世紀近く工事が続いたという。それでも徳蔵の構想の半分で止まったらしい。私財を投じた工費の総額は不明だ。
 洞窟観音を含む約2万坪の敷地には徳蔵の邸宅を改装した「山徳記念館」や紅葉の名所の日本庭園「徳明園」が残る。徳明園は洞窟を掘って出た土で造園したという。
 洞窟観音は手入れが行き届かなかった時期も長かった。5年ほど前から照明を増やすなど安全対策を充実させ、観光施設としての整備を本格的に進めている。いまのところ年間2万人ほどの来場者の目当ては、主に庭園。荒井さんは納得がいかない。「洞窟観音をB級スポットで終わらせたくない。この素材にもっと磨きをかけたい」と再興を夢見る。




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