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view福島・霧幻峡 霧と舟

 Uploaded by SankeiNews view福島・霧幻峡 霧と舟 (2018/08/04)

view福島・霧幻峡 霧と舟

早朝、山々を越えて朝日が渓谷を照らすと、川面を覆っていたい霧が生き物のように動き出した。もやの間から姿を現した渡しも、すぐに隠されてしまう。水墨画のような景観に思わず息をのんだ。
 福島県金山町の霧幻峡。ここでは、只見川沿いの三更集落か街道が通る対岸への交通手段として約300年間、渡し舟が活躍していた。船頭がいないため住民自ら舟を操り、雨や大雪の日でもこぎ出していた。そんな日常は昭和39年に集落の裏山が崩落し、約800㍍離れた場所に集団で移転、新たに雨沼集落を作るまで続いた。
 霧幻峡では夏の早朝、高い確率で川霧が発生する。尾瀬の雪解
け水を源流とする只見川は、夏場でも川遊びができないほど冷たい。大気との温度差で川霧が発生すると考えられている。
 古くからの住民には当たり前だった川霧と渡し舟。この約50年途絶えていた風景が昨年、本格的に復活した。手がけたのは、かつて三更集落に住み、今は雨沼集落で暮らす写真家、星賢孝さん。星さんは小学生時代、1人で舟をこいで川を渡り、対岸の駅から只見線で通学したこともあった。
 69歳の星さんは今、雨沼集落で最年少。住人は6世帯14人だけだ。星さんは「このままでは集落が消滅する危機感もあった。若い人が地域に残れる仕事を作りたかった」という。地域活性化や観光振興を目指す星さんは「霧幻峡の渡し」と名付け、撮影した作品をSNSで発表し続けた。
 これが昨年の夏以降、新聞やテレビ、旅行関係者らの間で評判を呼び、さまざまな媒体で紹介され注目の的に。神秘的な光景をひと目見ようと、全国から観光客やカメラマンが殺到した。今年も既に秋の紅葉シーズンまでに大型バス80台、約3千人の予約が入っているという。
 昨年9月に初めて訪れて以来、4度目の撮影に訪れたという茨城県つくばみらい市の水口忠男さん(75)は「季節や時間帯で雰囲気が違う。早朝の霧に浮かぶ船頭さんの姿がたまらないと、すっかり魅了されていた。(写真報道局 桐原正道)




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