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温暖化の元凶、水素に変えろ 褐炭から新エネルギー、日豪が構想

 Uploaded by 朝日新聞社 温暖化の元凶、水素に変えろ 褐炭から新エネルギー、日豪が構想 (2018/08/01)

温暖化の元凶、水素に変えろ
褐炭から新エネルギー、日豪が構想

石炭を二酸化炭素(CO₂)を出さない水素エネルギーに変え、発電や自動車に使う。こんな日本とオーストラリアの共同プロジェクトが動き出した。温暖化対策の「お荷物」とされてきた豪州南東部の炭鉱のまちは、プロジェクトの行方を期待と不安のなか、見守る。
南東部ビクトリア州ラトロブ市で2017年3月末に閉鎖されたヘイゼルウッド火力発電所。周囲には露天掘りの土地が広がっている。発電所に燃料の石炭を供給した炭鉱の跡地だ。750人が働いていたが、開設から50年以上たって老朽化。会社が、突然閉鎖を発表した。
 一帯のラトロブバレーで産出される石炭は水分が多く、乾燥すると自然発火しやすい褐炭だ。輸送が難しく、地元で発電用に使われてきた。
 石炭火力発電は地域の基幹産業。国際環境団体「気候グループ」のまとめによると、2010年には、3カ所の発電所で国内人口の9割近くが暮らす豪東部・南部の電力の2割をつくり出していた。
 だが、褐炭を燃料とする発電所は多くの二酸化炭素が出る。この3カ所は、二酸化炭素の排出量でも東部と南部の発電所の中で上位3位を占めた。東部・南部で発電によって出る二酸化炭素の3割以上に上った。
 国内で気候変動の対策が話題になるたび、環境派から目の敵にされてきた。石炭火力発電所の新設は強い反対があり、難しい。だが、老朽化した発電所を閉鎖すれば、膨大な褐炭の使い道がなくなってしまう。
 そんな将来を一転、明るくする構想が持ち上がっている。褐炭から水素をつくり、日本へ運んで火力発電や燃料電池車の燃料として使う、というプロジェクトだ。水素は燃焼させても二酸化炭素は出ない。グラム・ミドルミス副市長は「褐炭は単に『汚い』を意味する言葉になっていた。この革新技術は試してみる価値がある」と語る。プロジェクトを通じて数百人規模の雇用も、と地元の期待は膨らむ。
ただ、住民には、懐疑的な見方もある。「(水素プロジェクトは)実現するとは信じられない」。ラトロブバレーの将来を考える市民団体「バレーの声」代表のウェンディ・ファーマーさんは語る。「褐炭を石油に変える」「褐炭から化学肥料をつくる」。こんな構想がこれまでも立ち消えになってきたからだ。
 カギを握るのが、州政府が進める二酸化炭素の回収・貯留(CCS)事業だ。実は褐炭から水素をつくるときには副生物の二酸化炭素が発生する。州政府によると、回収した二酸化炭素をパイプラインで沿岸へ運び、海底に貯留する構想。20年をめどに貯留場所の地質調査などを進めていく。




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