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viewトキ放鳥10年 繁殖 新たなステージへ

 Uploaded by SankeiNews viewトキ放鳥10年 繁殖 新たなステージへ (2018/06/16)

viewトキ放鳥10年 繁殖 新たなステージへ

初夏の里山をやさしく包み込むそよ風。エサを取りにきたトキが、水田を滑るように舞い降りる。新潟県の佐渡島で、トキ10羽の試験放鳥が行われて今秋で10年。環境省は今月6日、島内で1年以上生存している個体数が220羽を超えたと発表した。
当初の目標よりも2年前倒しでの達成。だが、懸念されるのが遺伝的多様性の乏しさだ。日本で飼育、または生息している全てのトキは、中国から供与された5羽(雄3羽、雌2羽)の子孫になる。佐渡トキ保護センターで飼育する個体の交配は計画的に行っているが、それでも人間に例えると、めいと叔父、おいと叔母の関係だ。人間の管理が及ばない野生下では、きょうだいペアの子供も誕生している。
こんな中、今年5月の日中首脳会談で、11年ぶりにトキのつがい2羽の提供が決まった。トキの生態に詳しい新潟大学の永田尚志教授は「供与はうれしい」としながらも「重要なのはどんな遺伝子を持ったトキなのか」と気をもむ。日本側は最初の5羽と違う遺伝子のトキを希望したが、中国側から個体の遺伝情報は届いていないという。
新たなトキは、早ければ今年度中にも保護センターにやってくる。2羽はカップルではなく、それぞれ相手を保護センターで探す。日中間の覚書で繁殖した個体は中国へ返還される。その比率は半数程度と高い。永田教授は「つがいの子孫の放鳥まで5年はかかる」とみる。返還を免れた個体が種親になり、その子供が成鳥になって初めて放鳥対象になるため、時間がかかるのだという。
過去10年間のモニタリングでは、人間に飼育されて育ったトキよりも、自然の中で孵化(ふか)し育った個体のほうが、生存率や繁殖実績が高いことが分かっている。
永田教授は「今後は放鳥する個体の数よりも、その〝質〟にこだわることが重要」と強調する。トキの将来を見据えた繁殖計画が求められている。(写真報道局 大山文兄)




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