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歴史たどる 思索の道「哲学の道」かいわい

 Uploaded by 朝日新聞社 歴史たどる 思索の道「哲学の道」かいわい (2018/03/01)

歴史たどる 思索の道「哲学の道」かいわい

京都市左京区の大文字山のふもとに広がる鹿ケ谷や浄土寺の一帯は、琵琶湖の水を京都市に流す水路「琵琶湖疏水」が流れている。疏水沿いに観光客らでにぎわう「哲学の道」がある。散策すると、周辺の緑濃く静かな生活環境が育まれた近現代史が垣間見えてきた。
霊鑑寺のすぐそばに住む田村真和さんを訪ねた。田村家は、霊鑑寺に仕える鹿ケ谷村で庄屋を務めた家柄だ。子どものころ、如意越えを歩いて琵琶湖のほとりまで行った記憶がある。「幕末に勤王の志士や脱藩浪士らがこの道を通って往来していたのでしょう。いわば権力の届かない道ですからね」と言う。
 「まあこれを見てください」と、田村さんは古びた柱時計を取り出してきた。時計の裏の筆書きは「山城国愛宕郡鹿ケ谷村戸長役場用」と読める。明治政府がそれまでの太陰太陽暦から太陽暦に改める際、公共機関に西洋式の時計が支給されたという。田村さんが調べたところ、時計は1873(明治6)年に鹿ケ谷村役場に設置されたものという。97年に京都大の前身の京都帝国大が開学。鹿ケ谷や浄土寺、吉田山一帯に教授が自宅を構え、学生向けの下宿屋も増えた。周辺は学問と文化の香りに包まれていった。
 地元の住民団体「哲学の道保勝会」の会長も務める田村さんと琵琶湖疏水沿いを歩いた。この道が「哲学の道」だ。熊野若王子神社付近から銀閣寺付近まで南北約2キロ続く。四季の移ろいが美しい。



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